
【血糖値が気になる方へ】スマートリングで血糖値は測れる?「測定できる」と謳う製品の注意点も解説
公開: 2026/8/5更新: 2026/8/6
アメリカのFDA(食品医薬品局)は2024年2月、はっきりと警告を出しました。「血糖値を測れると謳うスマートウォッチやスマートリングを、買わないで、使わないでください」。皮膚に針を刺さずに血糖値を測る製品を、FDAはメーカーを問わず1つも承認していないからです。
こんな疑問に答えます・・・
- 健康診断で血糖値が高いと指摘された。スマートリングで毎日チェックできる?
- 通販で見かける「血糖値測定対応」のリングやウォッチは本物?
- 検索に出てくる「JCリング」って何?
- 本当に血糖値を測りたいときは、どうすればいい?
私はSOXAI RING 2を毎日つけて約3ヶ月になります。今回は主要5ブランドの公式サイトの計測項目一覧と、FDA・日本の糖尿病学会の発表を1つずつ確認して書きました。
採血なしで血糖値を正確に測れる一般向けのデバイスは、2026年8月時点で存在しません。スマートリングも例外ではありません。そのうえで、「測れる」と書いてある製品の何が危ないのか、研究はどこまで進んでいるのか、代わりにできることは何かを整理します。
☀️ この記事でわかること ☀️
- 主要5ブランドの公式計測項目に血糖値がないことの確認結果
- 通販の「血糖値測定対応」製品を使ってはいけない理由(FDA・日本糖尿病学会の見解)
- 検索で見かける「JCリング」について確認できた事実
- 非侵襲血糖測定の研究の現在地(Apple、Samsung、大学研究)
- 本当に血糖値を測りたいときの正規ルートと、スマートリングにできること
うちの父が健康診断で血糖値が高いと指摘されて、「指輪で測れたら楽なのに」って言ってたんです。やっぱりダメなんですか?
残念ですが、いまのスマートリングに血糖値を測る機能はありません。そして「測れる」と書いて売られている製品ほど、注意が必要です。順番に見ていきましょう。
まず整理:スマートリングと血糖値の関係は3種類
| 種類 | 例 | 血糖値測定 |
|---|---|---|
| 日本で買える主要5ブランド | SOXAI RING、RingConn、EVERING、Re・De Ring、Oura Ring | ❌ 機能自体がない |
| 通販の「血糖値測定対応」製品 | 格安のリング・ウォッチ | ⚠️ 医療機器ではない。FDAが使用しないよう警告 |
| 承認された測定手段 | CGM(FreeStyleリブレ2など) | ✅ 測れるが、指輪型ではない |
「スマートリングで血糖値が測れる」という話の出どころは、ほとんどが通販の格安製品の謳い文句です。主要ブランドの機能の話ではありません。血圧について同じ整理をした記事もあります。
①主要5ブランドに血糖値の計測機能はない
SOXAI RING、RingConn、EVERING、Re・De Ring、Oura Ringの5ブランドについて、公式サイトの計測項目一覧を確認しました。並んでいるのは心拍数、心拍変動(HRV)、血中酸素、皮膚温、睡眠、活動量といった項目で、血糖値(グルコース)を計測できるモデルは1つもありません(2026年8月時点)。EVERINGはそもそも決済専用のリングで、健康計測の機能自体がありません。
なぜ測れないのか?
スマートリングのセンサーは、皮膚に光を当てて血流の変化を読み取るPPG(光学式)という方式です。心拍数や血中酸素はこの方式で読み取れます。しかし血液中の糖のわずかな信号を、水分や脂肪など他の成分の信号と区別して皮膚の上から読み取る技術は、まだ研究段階とされています(糖尿病専門クリニックの解説でも同様の指摘があります)。
Ouraの「血糖連携」はリングが測っているわけではない
「Oura Ringは血糖値に対応している」という情報を見かけたら、それは連携機能の話です。OuraアプリにはCGM「Stelo」(Dexcom社)と連携して血糖値を表示する機能が実在します。ただし測っているのは皮膚に装着するSteloのセンサーで、リング本体は血糖値を測っていません。しかもこの機能は規制上の承認の関係で米国のみの提供で、日本のアカウントでは使えません(Oura公式ヘルプに明記)。
②通販の「血糖値測定対応」製品:FDAは「買わないで」と警告
楽天市場で「血糖値 スマートウォッチ」と検索すると、約2,400件がヒットします(2026年8月5日時点。「血糖値 スマートリング」でも約200件)。上位に並ぶのは、商品名に「血糖値測定」を掲げた数千円から1万円台の製品です。
このジャンルに対して、FDAは2024年2月21日に警告を出しました。要点は2つです。
- 皮膚に針を刺さずに血糖値を測る・推定すると謳うスマートウォッチやスマートリングを、FDAはメーカーやブランドを問わず1つも承認していない
- こうした製品を買わないで、使わないでほしい
FDAが挙げる危険は具体的です。不正確な血糖値をもとに糖尿病の薬(インスリンなど)の量を間違えると、重い低血糖などを起こし、数時間のうちに意識の混濁や昏睡、最悪の場合は死に至るおそれがあるとまで書かれています。
日本でも2024年4月、日本糖尿病学会が「皮膚に針を刺すことなく血糖値やグルコース値を測定できる医療機器はない」という趣旨の注意喚起を、日本糖尿病協会が「現時点では使用しないことを強く推奨します」という見解を、それぞれ発表しています。
でも実際に使うと数値が表示されるんですよね?動いているのに測れていないって、どういうことですか?
血糖値として信頼できる根拠のない数値が、それらしく表示されているだけです。しかも血糖値の場合、糖尿病の薬を使っている人ほど、その数値を信じたときの被害が大きくなります。だからFDAは「買わないで」とまで踏み込んだわけです。
検索で見かける「JCリング」について確認できた事実
「JCリング 血糖値」という関連検索も出てくるので、公式サイトで確認できた事実を並べます(2026年8月5日時点)。
JCリングは「スマートリング初!血糖状態の評価可能」を掲げる、日本の会社が販売する製品です。AIアルゴリズムで体調データから血糖状態を「評価」するとしており、公式サイトによれば正確度は83%とされています。一方で、同じ公式サイトに「本製品は医療機器ではない」こと、病気の診断・治療・予防に使えないことが明記されています。
整理すると、次のようになります。
- 謳われているのは血糖値の「測定」ではなく「評価」で、正確度83%という数字の第三者による検証は確認できませんでした
- 医療機器ではないと販売元自身が明記している以上、糖尿病の管理や治療の判断に使える製品ではありません
- 2026年8月5日時点で、公式サイトの製品はすべて在庫なしの表示でした
健康系のガジェットを見るときは、「医療機器ではありません」という一文を必ず探してください。書いてあれば、その数値を治療や受診の判断に使ってはいけない、という意味です。
③研究はどこまで進んでいる?Apple・Samsungも「まだ先」
「いつか腕時計や指輪で血糖値が測れるようになる」という話自体は、嘘ではありません。世界中で研究されています。ただし現在地は、はっきり研究段階です。
- Apple:Apple Watchでの非侵襲血糖測定を長年研究していると報じられていますが、2026年8月時点で製品には搭載されていません。Bloombergの報道では「搭載はまだ数年先で、実現しない可能性もある」とされています
- Samsung:2020年にMITと共同で光学式(ラマン分光)の測定手法を発表しましたが、Galaxy RingにもGalaxy Watchにも血糖測定機能は搭載されていません
- 大学研究:カリフォルニア大学サンディエゴ校は2026年7月、指の汗からグルコースなどを連続測定するリング型の試作機をNature Communications誌に発表しました。研究チームの位置づけはプロトタイプで、製品化の時期は未定です
AppleやSamsungが巨額の研究費をかけても実現できていないことが、数千円の通販製品で「すでに実現している」とは考えにくい——②の警告のいちばん分かりやすい根拠が、この対比です。
研究が進めば、いつか本当に指輪で測れる日が来るかもしれないんですね。
はい。ただしそれは「医療機器として承認されてから」の話です。承認前の段階で、先回りしてお金を払う必要はありません。
本当に血糖値を測りたいときの正規ルート
健康診断で血糖値が高いと指摘されたなど、実際に数値を把握したい場合は、医療機器として承認された測定手段を使います。選択肢は大きく2つです。
| 項目 | 持続グルコース測定器(CGM) | 血糖自己測定器(SMBG) |
|---|---|---|
| 代表例 | FreeStyleリブレ2 | 家庭用の血糖測定器 |
| 測り方 | 腕などの皮膚に貼って最長14日間連続で測定 | 指先に針を刺してその都度測定 |
| 入手方法 | 高度管理医療機器の販売許可がある薬局・ドラッグストアで、処方箋なしでも自費購入できる | 本体は通販でも購入可。センサー(試験紙)は薬局での対面販売のみ |
| 価格の目安 | センサー1個あたり約8,000〜9,000円(2026年8月時点) | 機種・センサーによる(購入前に薬局で相談) |
インスリン治療中の方は、リブレ2が保険適用になる場合があります。数値が気になる状態なら、機器を選ぶ前にまず医療機関での相談が先です。CGMのデータの読み方も、自己判断より医師と一緒に見るほうが安全です。
スマートリングにできるのは「血糖値のまわり」の生活記録
最後に、スマートリングにできることを整理します。血糖値そのものは測れませんが、健康計測に対応する4ブランド(SOXAI、RingConn、Re・De Ring、Oura)は、心拍数、HRV、睡眠、歩数・消費カロリー、皮膚温などを24時間自動で記録します。
睡眠や運動などの生活習慣は、血糖コントロールに関わるとされています。その生活習慣の記録を、意識しなくても毎日貯めてくれるのがスマートリングの役どころです。私もSOXAI RING 2をつけて約3ヶ月になりますが、毎日見ているのは睡眠スコアと歩数です。血糖値を測る道具ではなく、生活を整えるための記録係です。
まとめ
「測れる」って書いてあったら、測れると思っちゃいますよ……。父には「指輪じゃなくて、まず病院」って伝えます。
血糖値は命に関わる数値だからこそ、FDAも学会も強い言葉で警告しています。測るなら承認された機器で、生活の記録はスマートリングで。役割を分けて使うのが、いまの正解です。
☀️ 要点まとめ ☀️
- 主要5ブランド(SOXAI、RingConn、EVERING、Re・De Ring、Oura)に血糖値の計測機能はない(2026年8月時点)
- 「血糖値測定対応」を謳う通販製品は医療機器ではなく、FDAが「買わない・使わない」よう警告している
- 日本糖尿病学会・日本糖尿病協会も2024年4月に注意喚起を出している
- 非侵襲の血糖測定はAppleやSamsungでも研究段階。実用化は医療機器としての承認が前提
- 本当に測りたいときはCGM(FreeStyleリブレ2など)や血糖自己測定器。スマートリングは生活習慣の記録係
